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生前贈与に関係する贈与税や相続税-2023年度税制改正でどこが変わった? ポイントをわかりやすく説明

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2023年(令和5年)度の税制改正で贈与税や相続税についてこれまでにはなかった控除や特例が設けられました。
生前贈与を検討している方にとっては節税対策につながるのでぜひとも知っておきたい情報です。

この記事では2023年税制改正で贈与税や相続税に関連して設けられた新しい控除や特例、見直された点などを紹介ポイントします。
生前贈与を検討している、生前贈与を受ける可能性があるという方は、新しい取り決めを理解するために、この記事を参考にしてください。

 

2023年度税制改正で設けられた控除や特例

2023年度税制改正で相続税と贈与税についてこれまでにはなかった控除や特例が設けられました。
さらに、今まで適用されていた非課税措置の期間延長なども決まっています。

今回の税制改正で、設けられた控除や特例、見直されたものは以下の通りです。

  • 相続時精算課税を選んでも110万円の基礎控除が受けられる
  • 相続時精算課税にかかる土地もしくは建物の価値の特例
  • 暦年課税において贈与を受けた財産を相続財産に加算する期間の見直し
  • 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について適用期限を3年延長
  • 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について、適用期限を2年延長

 

相続時精算課税を選んでも110万円の基礎控除が受けられる

2023年度税制改正では、相続時精算課税に基礎控除110万円が設けられました。これは以前にはなかった取り決めです。
これにより、相続時精算課税を選択した受贈者が、特定贈与者から2024年1月1日以降に贈与を受けた財産にかかるその年分の贈与税については、贈与税の課税価格から基礎控除額110万円が控除できるようになります。

贈与税については、申告の際に暦年課税か相続時精算課税のどちらかを選択しますが、暦年課税には110万円の基礎控除があり、相続時精算課税にはそれがありませんでした。
相続時精算課税を選んでも110万円の基礎控除が受けられるので、毎年110万円までの贈与なら贈与税は課税されないことになります。

 

相続時精算課税にかかる土地もしくは建物の価値の特例

2023年度の税制改正では、相続時精算課税で贈与された土地や建物が災害に遭った場合、相続時にその課税価格を再計算するという特例が設けられました。

災害に含まれるものは以下の通りです。

  • 震災・風水害・冷害・雪害・干害・落雷・噴火などの自然現象の異変
  • 鉱害・火薬類の爆発・人為による異常な災害
  • 害虫や害獣などの生物による被害

この特例が適用できる被害の程度は以下の基準で判断します。

  • 土地の生前贈与時の価額、建物の想定価額のうちに、被災価額の占める割合が10%以上
  • 想定価格とは、災害発生日における一定の三色により求められた価額のこと
  • 被災価額とは、被害額から保険金などで補填される金額を引いたもの

例えとして、生前贈与で価額が2,000万円の建物を取得した場合を考えましょう。
その建物が震災の被害に遭い、想定価額と被災価額は次のように計算されました。

  • 被災価額400万円
  • 想定価額が1,700万円

このケースでは、被災価額が想定価額の20%を超えています。
したがって、相続時に課税価格を再計算するという特例が適用できます。

相続税の課税価格に加算される額は以下のように再計算します。

  • 2,000万円-400万円(被災価額)=1,600万円(相続税の課税価格に加算される額)

 

暦年課税において贈与を受けた財産を相続財産に加算する期間の見直し

今回の税制改正では、暦年課税で生前贈与を受けた財産を相続財産に加算する期間が見直されました。

改正前と改正後の違いは以下の通りです。

  • 改正前:相続開始3年間
  • 改正後:相続開始7年間

さらに、延長した4年間に受けた贈与のうち総額100万円までは相続財産に加算しないという見直しもありました。

 

 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について適用期限を3年延長

2023年度の税制改正では、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について、節税対策を目的とした利用につながらないように所要の見直しをおこなった上で、適用期限を3年延長することが決まりました。
生前贈与として教育資金を一括贈与してもらう場合1,500万円までは贈与税が非課税です。
この特例が適用できる期間が3年延長になり2026年までとなりました。

 

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について、適用期限を2年延長

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置についても、適用期間が2年延長されることが決まりました。
祖父母や親から結婚・子育ての資金として一括贈与を受けた場合、1,000万円までは非課税です。
この非課税措置が適用される期間が2年延長になり2025年まで適用可能となりました。

 

税制改正の変更点を生前贈与で効果的に活かす

税制改正により、相続時精算課税にも基礎控除ができ、暦年課税制度による生前贈与の相続税加算対象期間が7年間に延長されました。

それぞれの変更点を踏まえ、それをどのように生前贈与で活かせるのかを説明します。

 

相続時精算課税の基礎控除

2023年度税制改正で、相続時精算課税を選択した場合、年間110万円の基礎控除が適用できるようになりました。
したがって、年間110万円までの贈与なら贈与税が課税されません。上手に生前贈与をすれば贈与税の節税になります。
さらに、以前の相続時精算課税制度では、贈与者が亡くなった場合、受け取った財産すべてを相続財産として加算し、相続税を算出していました。

改正後の取り決めでは、2024年1月1日以降に受け取った財産は年間110万円までであれば相続財産として加算せずに済むようになります。
これにより、相続税の節税がさらに可能になりました。
生前贈与で取得できる財産はあるが、それほど価額が高額でないという場合、相続時精算課税を選択し、毎年110万円までの贈与にすれば、贈与税と相続税がかからないので、効果的な節税対策になるでしょう。

 

暦年課税制度による生前贈与の相続税加算対象期間の延長

暦年課税制度による生前贈与の相続税加算対象期間が3年間から7年間になり、延長した4年間に受けた贈与のうち総額100万円までは相続財産に加算しないという見直しがおこなわれました。

贈与者の高齢や病弱というケースでは、この見直しによるメリットを受けるのは難しいでしょう。
一方、贈与者が比較的若い場合、受贈者はこの見直しの恩恵を得ることができます。

 

まとめ

2023年度税制改正により贈与税や相続税についてこれまでにはなかった控除や特例が設けられました。
所有している財産の生前贈与を考えているが、新たな基礎控除や特例が設けられたので、相続時精算課税にするか暦年課税するか悩んでいるという方がいらっしゃいます。

贈与税や相続税にまつわる質問や悩みがあれば、税理士に相談してください。
資産を有効に活用するための最善策を提案してくれます。