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顧問税理士を変更する際の注意点と変更タイミングを解説

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会社で契約している顧問税理士に不満がある場合や、会社の方針が変わり、現在の税理士ではニーズに合わなくなった場合などには、顧問税理士の変更が可能です。
本稿では顧問税理士を変更する場合に注意すべき点や、変更のタイミングに関して解説していきます。

 

顧問税理士を変更する際の注意点

顧問税理士を変更する場合に、注意すべき点をいくつか紹介していきましょう。

 

顧問税理士変更のタイミングを考える

顧問税理士の変更には、適したタイミングやおすすめできないタイミングがあります。
実際に顧問税理士の変更を実施するタイミングに関しては慎重に検討することが重要です。

顧問税理士の変更におすすめのタイミングや、おすすめできないタイミングに関しては後の項で詳しく解説します。

 

顧問税理士との契約内容を確認する

顧問税理士を変更する場合、現在契約している顧問税理士との契約を解除する必要があります。
そのため顧問税理士との契約書の確認は重要です。
特に確認しておきたいのは、解約のタイミングに関する内容です。
契約によっては、契約解除を申し出ることができる時期が限定されている契約があります。
また、契約解除の際は、何ヵ月前までに契約解除の旨を通達するといった契約もあるかと思います。
特に契約解除に関する項目を確認し、スムーズに解約できるような対応が必要です。

 

顧問税理士に預けている書類は確実に返還してもらう

顧問税理士には、自社の税務に関する書類を預けているかと思います。
こうした書類の中には機密情報も多く含まれているため、書類は確実に返還してもらうことが重要です。
重要書類はすべて返却してもらい、さらに目安として直近5期分の税務書類に関しては確実に返却してもらいましょう。
直近の税務書類に関しては、新たに契約を結ぶ税理士に業務を引き継ぐためにも重要な書類となります。

 

自社の希望に合った税理士を探す

税理士を選ぶ場合のポイントにはさまざまなポイントがあるかと思いますが、その中でも自社が重視する点をしっかり整理して、自社にあった税理士を見つけるようにしてください。

 

顧問税理士を変更しない方がいいタイミング

顧問税理士の変更の場合、あまりおすすめできないタイミングがあります。
変更すべきではないタイミングについて解説していきましょう。

 

決算の3ヵ月前から決算日まで

会社には年に1度決算があります。
この決算で会社は1年間の損失や利益を計上して、法人税の税額を確定させなければいけません。
決算の3ヵ月前となると、顧問税理士も決算に向けた税務処理のため、必要な資料を集めたり、必要な書類を準備したりし始めます。
決算における税務処理に関しては、その決算までの1年間、顧問税理士として業務にあたっていた税理士が行う方がスムーズな処理が期待できます。
決算に関する準備期間でもある時期に新たな税理士に変更してしまうと、業務がスムーズに進まない可能性がありますので、あまりおすすめできません。

 

税務調査の通告が入り修正申告を行うまで

その会社の納税に関して税務署等が疑問を感じた場合に行われるのが税務調査です。
税務調査には強制調査と任意調査があります。
強制調査とは、税務署等が悪質だと判断した場合に行うものですので、悪質な脱税等をしていなければ受けることはまずありません。

一般的な税務調査は任意調査となり、事前に税務署から任意調査を行うことが通知されます。
この任意調査の通知が届いてから、税務調査が完了し、修正申告を行うまで、また税務調査前に自社で不備を発見して修正申告を行うまでの期間も税理士の変更には適さないタイミングと言えます。
もちろん、修正申告が不要な場合は、税務調査の結果「申告是認」の通知を受け取るまでの期間は変更に適していません。

税理士は税務調査に立ち会うことができ、税務調査員の税務上の質問等に返答をするなどの対応も可能です。
税務調査に対応する場合、その年の納税の業務にかかわった税理士の方が適切であり、それまでの事情を把握していない税理士では、対応が難しいケースが考えられます。
税務調査の通告が届いてから、税務調査に関する税務処理が完了するまでは顧問税理士を変更しない方が得策です。

 

顧問税理士を変更するおすすめのタイミング

顧問税理士を変更するおすすめのタイミングは、以下のようなタイミングが考えられます。

  • 税務調査後の税務処理完了後
  • 確定申告期限後

税務調査の対応に関しては、上記の通りそれまで契約していた顧問税理士に依頼するのがベストです。
その税務調査が終わり、修正申告等の税務処理が完了した後は、税理士交代のいいタイミングと言えます。

会社の確定申告の期限は、決算日の翌日から2ヶ月以内です。
この確定申告をもって、決算日までの1年間の税務がひと段落すると考えられます。
会社としては決算日の翌日から新しい1年が始まっていますが、税務処理としてはこの確定申告で1年間の税務業務が完了し、新たな1年の税務業務が始まる切り替えタイミングです。

新しい顧問税理士と契約するのであれば、この新しい1年の始まりに契約するというのは非常に業務に入りやすいタイミングといえます。

 

まとめ

この記事では、顧問税理士の変更に関する注意点に関して詳しく解説しました。
顧問税理士の変更はどのタイミングでも可能ではありますが、変更に適したタイミングや、適さないタイミングがあります。
また、変更する場合には、注意すべきポイントがいくつかあるので注意が必要です。

税理士の変更には長い時間と手間がかかります。
しっかりと社内で検討し、税理士の変更およびそのタイミングなどを決めてから取り組みましょう。